ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 ところが、その迫力のせいか男の子は一瞬泣き止み、こくりと頷く。従順になると一気に可愛く思えて、ふっと口元を緩めた俺は小さな背中をぽんぽんと撫でた。

 スタッフに預けてしばらくしてから、探していたらしい両親がやってきて一件落着した。他にふたりの子供を連れていて、目が届かなくなるのも無理はないなと思う。

 両親は俺に「すみません! ありがとうございました!」と何度も頭を下げ、すっかり元気になった男の子を連れてその場を去っていく。

「ひとりにしてごめんね。ちゃんと手を繋いでるからね」

 そう言い、しっかりと手を握り合って歩いていく親子の後ろ姿を見つめていると、自分の中で沸々と熱い気持ちが湧いてくる。

 俺も、ちゃんと依都を繋ぎ止めておかないといけないんじゃないか。このままにしておいたら離れていくばかりかもしれない。そんな不安で一杯になるくらい、特別で大切な人なのだから。

 彼女が行きそうな場所で思い当たるところは少ない。それでも探さずにはいられなくて、俺は出口に向かって駆け出していた。


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