墜愛


この愛は、どこまで私を沼らせる気だろう。


墜ちるところまで、墜ちてしまった感覚。


ここはまるで、荒れ果てた、地の果てのようだ。


誰もが良く思わない、

そんなところに辿り着いてしまっているように思う。


でも、彼に愛されている間だけは、

この場所が例え、みんなには

地獄だ、と言われても、

私はまるで、

天国にいるような、

そんな幸せな気分を、味わえた。


もう、彼と普通の恋愛をする道からは、外れてしまっている。


これが、私の望んでいた幸せなの?


私は彼と、本当はどうなりたいの?


彼女になりたい?


それとも、お互いの気持ちを曖昧にしたまま、

体を重ね合うだけの、都合のいい関係を続けたい?


分からなくなる。



どれが本当の私の気持ちだったっけ。



少し前まで、純粋に彼を好きだった気持ちが、

どんどん堕ちぶれて、泥が塗られていくようだ。



どろどろになったその愛情は、

もはや本来の愛情表現の方法すら、忘れてしまった。



それからほぼ毎日、お互いの部屋に行って、体を重ねる日々が続いた。


部屋の合鍵を交換して、行き来までしやすくして。


でも、夜には必ず、彼は

「用事がある」と言って帰っていく。


きっと他の女の人のところにでも行っているんだろう。


そう結論付けて、私は敢えて、夜どこに行っているのかは尋ねなかった。

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