墜愛

友愛



そして、高坂先輩とのデートの日。


その前の日にも、私は綾人と体を重ねていた。


昨日、1人で食べたハヤシライスは、

大した量を食べていないのに、なんだか胃にきていた。


胃薬を飲んでようやく落ち着いてきたおなかを少し(さす)りながら、

待ち合わせ場所の日比谷駅の改札を抜ける。


「麗蘭ちゃん!」


高坂先輩の声が聞こえてきた方に顔を向ける。


嬉しそうに微笑みながら、私に向かって手を振る先輩。


私も手を振りながら近づいた。


「どうしたの、おなか。」


「え?」


「あ、いや。改札抜ける時におなか擦ってた気がしたから。」


すごい、先輩。よく見てくれてるなぁ。


「ちょっと、昨日食べたハヤシライスが重くて。」


「そうなの?じゃあパスタは重いかなあ。」


「あ、気にしないでください!映画見てたら、きっとおなかも落ち着いてくると思うので。朝ごはん食べてないですし、むしろいっぱい食べたくなるかも。」


「そう?まあ無理しないでね。とりあえず、映画館に行こっか。」


「はい。」


そう言って、私たちは並んで映画館へ向かった。

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