好きな人と暮らす初めての日
彼と過ごす初めての夜

「リーベ起きて」


 彼の声で意識が覚醒していく。
 目を開けると彼が上から私のことを優しく見ていた。


「……リュカ?」

「うん、そうだよ。おはよう、リーベ」

「おはよう」

「ご飯できたから一緒に食べよ?」


 気づいたら横になっていて、薄いタオルケットが体にかけられていた。私が寝ている間に彼がかけてくれたんだろう。
 それに感謝しながら、体をゆっくりと起こして伸びをする。

 息を吸うと、美味しそうな匂いがする。
 きっと彼が作ってくれたごはんの匂いだ。
 まだ眠りから完全に覚めていないようで、ぼんやりした頭でそんなことを思う。

 けど彼が手を繋いで導いてくれたのでダイニングテーブルに辿り着くことができた。
 テーブルにはシチューとパン、サラダが並べられていた。

 「いただきます」と彼と言い食べ始める。

 サラダは朝と同じようなものだったが、やはり美味しい。
 シチューに入っている肉は柔らかくて、口の中ですぐにほろほろと崩れる。小さくカットされた野菜もよく煮込まれ柔らかい。味ももちろん美味しくて食が進む。


「リュカすごく美味しい。作ってくれてありがとう」


「リーベがそんなに喜んでくれるなら作った甲斐があったよ」


 笑顔で伝えると、彼も笑顔で返してくれる。
 こんな些細なやりとりでも幸せを感じる。

 それからは朝とは違い、私が食べることに夢中にならなかったので、彼と話しながらごはんを食べる。
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