アンハッピー・ウエディング〜後編〜
秋立つ頃の章2
雛堂にゲームをもらった翌日、早速雛堂に、ゲームはどうだったか聞かれた。

…まさか、初期設定に手こずって全然プレイ出来なかった、とも言えず。

しかし嘘をついても仕方がないので、正直にそう言った。

すると。

「マジかよ。星見の兄さん、意外と機械音痴?」

「うるせぇ。慣れてないだけだよ」

スマホは普通に使いこなしてるんだから、機械音痴ではないだろ。…多分。

「初期設定のやり方、いまいち分かんなくて…。時間かかりそうだから、休みの日にやろうと思ったんだよ」

「あー、はいはい。まぁ最初は慣れないと面倒だよな…。そういやうちのチビも、最初の初期設定は手伝ってやってたわ」

俺、雛堂んところのチビと同列?

なんか悔しいんだけど。
 
と、思ったら。

「おけおけ。じゃあ初期設定だけ手伝いに行くわ」

雛堂から、有り難い申し出。

「良いのか?」

「良いよ。雛堂ゲームショップはアフターサービスも充実してるから」

初期設定まで手伝ってくれるとは、マジで素晴らしいアフターサービス。

「真面目な話、そういう面倒な設定とかはチビ共によく手伝わされて、慣れてるからさ。まぁ気軽に頼ってくれよ」

「そうか…。何から何まで悪いな」

「良いってことよ」

雛堂が頼もしく見える。まさかこんな日が来るなんて。

勉強はてんで頼りにならないのに、こういうことでは非常に頼もしいな。

「…なんか申し訳ないから、ついでに夕食にうちのカツ丼食べてってくれ」

「マジかよ。初期設定手伝うだけで星見の兄さんのカツ丼食べさせてもらえるとか、超ラッキー」

こちらとしても、カツ丼一杯で手伝ってもらえるのは超有り難いから。

そこはまぁ、お互い様ってことで。
< 121 / 645 >

この作品をシェア

pagetop