アンハッピー・ウエディング〜後編〜
調理開始から、一時間半。

天真爛漫系家庭科教師が、調理室に戻ってきた頃には。

どうにかこうにか、作りたかったものが完成していた。

…まぁ、それっぽくはなったんじゃね?

トマトが白いせいで、あんまりピザソースっぽくないけど…。

味は多分…それっぽくなってんじゃないだろうか。

「皆さん、どうですかー?美味しいお料理は出来ましたか?」

俺達の苦労も知らずに、めちゃくちゃ呑気に聞いてきた。

美味しいお料理を作って欲しかったらな、まずそれなりの食材を用意してもらいたかったものだな。

「今…丁度出来たところです」

「おっ、良いですね。何を作ったんですか?」

何を…って、それは…えーっと。

「その…パンの上に乗せて…」

「パンの上に!ブルスケッタですか?」

いや、そんなお洒落な料理じゃなくて…。

…百聞は一見にしかず、だな。

「…ご覧の通りです」

俺は、皿の上に乗せた…出来上がったばかりの…なんちゃってピザを、天真爛漫系家庭科教師に見せた。

「どれどれ。リボリータ?カルトッチョ?ヤギ肉のタリアータも良いですよねー」

などと、うきうきしながら。

どんな料理なのかさっぱり分からないけど、その期待は大外れ。

「…?」

男子部一年生が作った、渾身の力作ピザ(仮)を見て。

これには、先生もびっくり。

しばし、そのまま無言でポカーンと見つめ。

「…えっ?これ何?」

…素で不思議そうに質問するの、やめてくれないかな。

俺達だって頑張ったんだよ。その努力を認めて欲しいものだな。

何って言われても…。

「…ピザです」

「えっ、ピザ?」

「…一応…」

ピザっぽくないかもしれないけど、ピザを目指したんだよ。これでもな。

「他には?他には何作ったんですか?」

他には、だと?

女子部の優秀な生徒達と一緒にしてくれるなよ。

慣れない設備と慣れない食材で、そんな並行して何種類も料理作れる訳ねーだろ。

「…ピザです」

「えっ。また?」

「照り焼きピザです…」

2種類あるんだぜ。凄いだろ。

「これだけ?前菜は?スープは?メインディッシュは…?」

ある訳ねーだろ。そんなもん。

昼飯がピザの時はピザだけだよ。そこに前菜だのスープだのを付けようとは、贅沢の極み。

あ、でもデザートはあるぞ。

洗ってお皿に入れただけの、シャインマスカット。

やっぱり、果物は普通に食べるのが一番だからな。

ピザにシャインマスカットのデザートがついてくるなんて、最高のランチだな。
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