アンハッピー・ウエディング〜後編〜
俺と雛堂達は一旦、学校で解散した。

それぞれハロウィンパーティーに必要なものを取ってきて、再びパーティー会場に…俺の家に集合する、ってことで。

その間に俺は急いで帰宅して、ケーキをオーブンに入れて焼いた。

「悠理君。ケーキまだ?ケーキ焼けた?」

「今焼いてるところだよ」

「待ち切れないねー」

キッチンにやって来て、うきうきとオーブンの中を覗いていらっしゃる。

全く、落ち着きのないお嬢さんだよ。

「今日ね、一日中ハロウィンパーティーが楽しみでねー」

「うん」

「ずっとハロウィンパーティーのこと考えてたから、先生に当てられたのに全然気づかなかった」

…雛堂と同レベルだな。

「何回も呼ばれて、ようやく気づいたよー」

「そ、そうか…」

申し訳ない。新校舎の先生に。

まさか学校1の秀才が、ハロウィンパーティーにうつつを抜かしているとは。
 
「お菓子いっぱい用意したんだよ。悠理君、とりっくおあとりーと、して良いからねー」

「はいはい、分かった分かった」

寿々花さんが楽しそうで何より。

そして、しばらくそのまま、ケーキが焼けるのを待っていると。



「やっほー。悠理兄さん。あーそーぼー」

「来ましたよ」

雛堂と乙無が、我が家にやって来た。

…やっぱり寿々花さんと同レベルだな。雛堂は。

「いらっしゃい、よく来…って、でかっ…!」

玄関先に二人を迎えに行き、二人が持ってきた荷物の大きさに驚いた。

雛堂は、中身がパンパンに詰まったボストンバッグと、これまたパンパンの底の深いエコバックを抱えていた。
 
その大荷物で、ここまで歩いてきたのか?

ご苦労様過ぎるだろ。

しかしそれ以上に目を惹くのが、乙無の荷物である。

超巨大な風呂敷包みを、平然と抱き抱えて持ってきていた。

「乙無…。それ、何…?」

「ジャックオーランタンですよ。用意しろと言われたので、用意しました」

「…デカっ…」

確かに、ジャックオーランタン係を押し付けられていたけど。

まさか、そんなに巨大なものだとは思わなかった。

30キロの米袋の大きさを、余裕で超えてるからな。

「すげーだろ?自分もさっき、えっちらおっちら歩いてきてたら、真珠兄さんと会ってさー。目玉飛び出るかと思ったわ。ジャックオーランタンだけに」

という、つまらない雛堂のボケが全く気にならないほどには、びっくりした。

こんな巨大なジャックオーランタン…絶対、家庭用ではないだろ。

「それ…重くないのか?」

乙無、普通に抱えて歩いてるけど。

かぼちゃって通常サイズでも、結構重量あるだろ?

中身をくり抜いているとはいえ、外側だけでもめちゃくちゃ重そうだが…。

「持ってみます?」

「うわっ、重っ…!無理無理、ちょ、無理だって!」

試しにと、乙無が少し風呂敷を持たせてくれたが。

あまりの重さに、一瞬たりとも持ち上げられなかった。

マジ?こんなもの持って歩いてたのか?

乙無って、もしかしてウエイトリフティングとかやってる?

「やれやれ。この程度で音を上げるとは、これだから脆弱な人間は…」

「乙無…。あんた、マジで何なんだ…?」

これには、思わずそう呟かずにはいられなかった。

…平気でハーフマラソンを完走するわ、こんな巨大なジャックオーランタンを用意して持ってくるわ…。

乙無、邪神の眷属ガチ説、濃厚。
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