再会溺愛〜夢の一夜の証と共に〜
 まだオープン前の『シノノメオーシャンズクラブ』は、名前の通り日本海の海岸沿いに建つリゾートホテルで、冬の寒さが厳しいこの地域でも年中楽しめるようになっているとテレビで紹介されているのを目にした。

「豪華ですね……」
「わくわくするわね」

 緊張している私とは違い、店長は楽しんでいる。仕事でもないと、こんな豪華なホテルに来る機会は一生ない気がする。広いホテル内には、私達の足音が響き渡っている。プレゼン会場は、海の側に建つチャペルが見える披露宴会場で、ガラス張りの室内には光が差し込み幻想的だ。

「す、凄い……」
「こんなところで結婚式を挙げるって一生の思い出ね」

 私達の他にもプレゼンを行うためにやって来た人達も、一堂にこの豪華で素敵な会場を見て感嘆のため息を漏らしている。

「本日はお越しいただきありがとうございます。ネームプレートを確認してお座りください」

 会場の前方には大型スクリーンが用意され、正面には東雲の関係者の席が用意されている。


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