再会溺愛〜夢の一夜の証と共に〜
「沙夜ちゃんの父親よね?」
「はい」
「はぁ~、心臓に悪いわ。東雲社長が入って来た瞬間、驚いて声を上げそうになったわ」
「私も驚きました。まさか、壱夜さんが東雲財閥の御曹司だったなんて……」
「驚くのもわかるわ。それにしてもイケメンでオーラが凄いわね。ただ、沙夜ちゃんを見慣れているから、あまりにも似ていて笑いそうになったわ」

 あの瞬間を思い出したのか、店長はクスクスと笑っているが、私は冷や汗ものだった。このままバレずに過ごすことが出来るのだろうか。

 店に戻って仕事を終らせて沙夜をお迎えに行く。昼間の出来事が幻想だったのかと思うくらい、これがいつもの日常なのだ。

「ママ〜、今日は早かったんだね」
「早く沙夜に会いたかったの」
「沙夜もママに会いたかった!」

 私達親子のやり取りをまさか見ている人がいるとは思わなかった。こんなに早く恐れていた事態になるとは誰が予想しただろうか。



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