天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 このやり取りでルシアンの事務官決定がされるのだから、より厳しく問い詰めた。

「そうですか……おかしいですね。フロスト領とブリジット領は隣接していて、フロスト子爵が運営する商会へブリジット伯爵領でとれた魔鉱石を卸しているため友好関係にある。つい先日、妃教育でそう教わったのですが、教師が間違っていたのでしょうか?」
「……それはあくまで父と兄のことなのです。次男の私は縁がございません」
「そうですか、失礼いたしました」

 アマリリスが追求の手を止めると、エドガーはホッとするようにため息を吐いた。

(理由はおいおいルシアン様に調べてもらうとして、エドガー様の異動は見送りね。怪しすぎるわ)

 ルシアンの視線を感じたアマリリスは、にっこりと微笑む。これが面談を終えていいという、アマリリスのサインにしていた。

「エドガー、面談はここまでだ。結果は後日通達するから、下がっていいよ」
「はい。それでは失礼いたします」

 エドガーが退席すると、ルシアンは隣に座るアマリリスに身体を向けて頬杖をつく。

「リリスはなにか読み取ったみたいだね」
「はい。まずエドガー様の希望は、復興支援の部門ではありません。それにブリジット伯爵にかかわりがないというのは嘘の可能性が高いです。異動は見送った方がよろしいかと」
「あれだけの会話でそこまで読み取るなんて、さすがリリスだね」

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