天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 ルシアンはうっとりとした眼差しで見つめてくるから、アマリリスは居心地が悪くなった。こういう甘い雰囲気は全く縁がなかったので、どうしていいのかわからない。

「それは簡単です。人が嘘をつくときは必ずマイクロサインを出すので、それを見逃さないように注意深く見ているだけなのです」
「うん、それがそもそも難しいと思うよ。僕は特にリリス以外に興味ないから、読み取れる気がしないなあ」
「それでも、経験を積めばなんとなくわかるようになります」
「じゃあ、それまではじっくり教えてもらおうか」

 ルシアン様の紫水晶の瞳がギラリと光る。なぜか頷いてはいけない気がして、曖昧に微笑んだ。

「それとフロスト子爵とエドガー様、ブリジット伯爵も以前嘘をついて支援金の申請をしていたので、調査された方がよいと思います」
「わかった。それは僕が手配するよ」
「では、次の面談に進みましょう」

 そんな調子でルシアンとアマリリスは害をなす人事を避け、敵意を持つ貴族たちを炙り出していった。


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