天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 ロベリアはそんな偶然があるのだなと思っただけで、すぐに次の問題へ思考を移す。

 調査をさせてその証拠をダーレンの名前でバックマン公爵夫人に送りつければ、兄の非道を許せない妹として見直してもらえるかもしれない。
 ダーレンにしても従妹の窮地を救ったとして、今後の援助が期待できる。

「ねえ、調査を依頼したいから、専門の業者を探してきてちょうだい」
「え? 調査ですか?」
「そうよ、なんでも調べてくれる業者よ! さっさとして!」

 こうしてロベリアは調査の専門業者を使って、エミリオとナタリーのことを調べさせることにした。

 それから二週間が経ち、ロベリアが依頼した調査内容が届けられた。書類や音声の記録を確認しロベリアとダーレンはニヤリと口角を上げる。

「うふふふ、これでお兄様をブロイル伯爵へ押し付けられるわ!」
「確かに……でもこれだけの会話内容や証拠を集めるなんて、いい仕事をするじゃないか」
「こんなに簡単に計画は進むなんて、きっとダーレン様がクレバリー侯爵家の当主になる運命だったのよ」
「まあ、私の手にかかれば領地経営で財を築くことくらいなんでもない」

 しかもブロイル伯爵は社交シーズンが終わった今も王都のタウンハウスにいるらしく、計画を進めるのにはもってこいのタイミングだった。ロベリアはダーレンを追い込む証拠を手にしてほくそ笑む。

「これでクレバリー侯爵家はわたしたちのものになるわ……!」



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