天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜
 その翌日、ロベリアは上機嫌でダーレンと一緒に映像記録の水晶を眺めていた。

 映像はクレバリー侯爵家に訪れた客人が応接室へ入ったところから始まる。
 客人は言葉使いこそ丁寧だが有無を言わせぬ怒気を放っていて、その隣にはギリギリと奥歯を噛みしめる夫人がいた。

 少し遅れてクレバリー侯爵とダーレンがやってきて、メイドがお茶を運んで人払いをする。これは今回の計画がうまく進んだか確認するために、事前にロベリアが仕込んでおいた魔道具だ。

『突然の訪問を失礼する。私はジャクソン・ブロイル、隣は妻リーナだ。クレバリー侯爵とエミリオ殿に娘ナタリーに関する重大な話をしにきた』
『いえ、そのナタリー嬢に関する重大な話というのは、いったいどのようなことでしょうか? それにエミリオも関係あるというのですか?』

 事情を知らないクレバリー侯爵は面倒だという気持ちを滲ませているが、ナタリーの名前を聞いたエミリオはハッとした表情をした。

『エミリオ殿が関係あるかどうかは、当の本人がよくご存知でしょう』
『さようでございますか。では、人払いもしましたので詳細をお聞かせください』
『……私たちの誰よりも大切な娘を、そちらの獣にも劣るご子息に力ずくで汚されました』
『なっ、そんなことは——』

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