ファーストキスは先生と
【02.】諦めなきゃなのに、



瀬那くんに手を握られたまま、
歩き慣れた、帰り道を歩くのは初めて。



「............、ごめん、川島。無理やり」



歩きながら振り返らずに、
そう言う瀬那くんの背中はなんだか切なくて。



「............っ、私こそ、ごめんね、」



気を遣わせてしまっているのは、
なんとなく、分かってるから、謝ると。



「〝ごめん〟って思うぐらいなら
そろそろ、俺と付き合ってくれたらいいのに」



いつも通りの明るいムードメーカーな、
口調でそう言って笑って振り向く瀬那くん。



「............、そんな、簡単じゃない、よ」



瀬那くんに何度も告白されてるし、
この前は、結音を経由してだけど............


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