バー・アンバー 第一巻
田村VSマッドサイエンティスト

第5章の脚注

脚注;学問に衝かれるあまり倫理を忘れ善悪を忘れて己が研究に猛進してしまう科学者がいます。本稿のマッドサイエンティストも本来は心理学博士であり同時に精神科の医者でもあったのですが、人間の深層心理を追求する過程でその禁忌を犯してしまったのです。もともと現代科学は物質的側面からの追求ばかりで異次元存在と思われる心への探求が決定的に欠けていると、そのようにも常々確信している人物でした。普段の診療に於て多重人格症の患者などをヒプノセラピー催眠療法へと誘うと、時に説明不能の変貌を起こすことに驚嘆し、それに着目して、症状を綿密に分析し行く内に遂にこれこそが異次元存在の現証であると、そう結論付けるに至ります。こうして異次元を確信した彼はやがてこの催眠療法を逆に己に施して、マッドサイエンスへの入口としたのでした。化学者でもあった彼は映画「アルタード・ステーツ/未知への挑戦」の如くに、自分が調合したLSD的な幻覚剤を使って異次元の世界を自由に探訪するようになりました。しかしこの研究の成果を今度は実証せねばなりません。どうするか?彼には自明でした。すなわち異次元の存在を逆にこの世、現世に顕現させればいい分けです。やがて彼はこれにも成功するのですがしかし実はそこに於ては異次元における彼への協力者、と云うか指南役が居たのです。その協力者とは果して…。彼への現世におけるパトロンも含めて、あとは小説へとお進みください。
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