妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
MOMOSE side2
 亜夢がイエスの返事をくれた瞬間、亜夢の細くて長く綺麗な指に指輪を嵌めた瞬間、俺は泣きそうになるくらい幸せな気持ちで満たされた。

 上手く出来ない事が多過ぎて沢山彼女を傷付けてしまったし、不安な気持ちにもさせてしまって、そんな不甲斐ない自分に苛立つ事も沢山あった。

 俺はまだまだ未熟で完璧なんかじゃないけど、亜夢が俺のプロポーズを受けてくれた、その事がとにかく嬉しくて、これから先、誰よりも亜夢を幸せに出来るよう、しっかりした男に成長しなきゃいけないと改めて思い直し、もう一度彼女の身体を強く抱きしめた。

 それから暫くして、俺の腕の中で亜夢が声を掛けてくる。

「あの、百瀬くん」
「ん?」
「百瀬くんはいつから、この為に動いていたの?」

 そして指輪を眺め、余韻に浸っていた亜夢は思い出したかのようにこうなった経緯を尋ねてきたので、

「そうだね、これについては全て順を追って説明するよ。まあ、俺が亜夢にプロポーズするって事は、付き合い始めた瞬間から決まっていた事ではあるんだけど、当初はこんなに早く言うつもりは無かった。もう少し先になると思ってた。だけど、亜夢に見合いの話がきたあの時、俺は考えを変えた。こう言っちゃ失礼かもしれないけど、俺は亜夢の家族に、あまり良い印象を抱けなかった。常に亜夢を不幸に陥れたい妹や、本人の意見も聞かずに妹から聞いた話だけを鵜呑みにして見合いを進める母親にも……。そんな環境から引き離して、俺が幸せにしてあげたくて、一刻も早く亜夢にプロポーズしたいと考えるようになった。これが、全ての始まりだったんだ――」

 今日までに繋がる全ての行動を、一から説明する事になった。

 亜夢に見合い話が出たあの日、有紗には勿論だけど、彼女の母親にも不信感しか抱けなかった。

 亜夢が家族と距離を置きたい気持ちが伝わって来て、このままじゃいけないと思った。

 見合いを勧めてきたという有紗については、このまま野放しにしておけないと思った。

 だから俺は全てを終わらせる為に、まずは有紗と接触する事にした。


 ***

「驚いたなぁ、百瀬くんの方から会いたいだなんて」

 思い立った日の翌日、亜夢には悪いと思ったけど、俺は知り合い経由で有紗に連絡を取って、一度きちんと話をする為に彼女と会った。

「アンタと長話するつもりは無いから早速本題に入るけど、一体何を考えてるんだよ? アンタは亜夢をどこまで苦しめれば気が済むんだ?」

 そして、ずっと気になっていた事――何故亜夢に固執して彼女を苦しめるのか、その理由を問い(ただ)した。
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