妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
 そして、俺と亜夢が離れ離れになる日々が始まった。

 前の職場での仕事を片付けたり、親父やじいちゃんから改めて仕事の事を教わったりと、思っていた以上にハードな毎日へと変わっていく。

 住んでいたマンションの片付けくらいは自分でしようとしたけれど、接待に同行しろと言われて休日まで時間を取られる事になり、引越し作業すら他人に任せる始末。

 それが更に亜夢を不安にさせているのは分かってた。

 そしてテレビで荒木田ホールディングスの今後が取り沙汰された時は最も不安にさせたと思う。

 だから朝とか夜は極力電話をしようとしていたけど、早く起きれなかったり寝落ちしてしまったりと連絡すら思うように出来ない日が多々あった。

 そんな中、亜夢が有紗や見合い相手だった金森と偶然会ったという連絡を貰った時、本当なら亜夢を行かせるべきでは無かったけど、俺は亜夢と距離を置いている身だし、ここで俺が口を挟めば勘のいい有紗は俺たちがまだ繋がっている事に気付いてしまうと思い、くれぐれも気を付けるように伝える事しか出来なかった。

 ただ、その後で食事会をしていた店の前で亜夢に会うとは思わなくてもの凄く焦った。

 しかも、タイミング悪く店から相手の会社の孫娘が俺を呼びに出て来たから更に状況は悪化した。

 あの時だって本当なら、すぐにでも亜夢を追いかけたかった。

 けど、仕事の話をしに来ているし、親父からは恋人と会う事は禁止されている。

 考えに考えた末、俺は何とかして理由を作り、一旦その場を抜けさせてもらって亜夢の部屋へ向かった。

 全て自分がまいた種とは言え、上手くやれないせいで状況が悪化している事に頭を抱え、余裕が持てない日々に疲弊していく。

 そんな時、亜夢があの金森と偶然接触した事実を知った時には、思わず亜夢に当たるような事をしてしまう。

 亜夢は悪くないのについついキツく言ってしまった時は、自分自身に酷く苛立ちを感じてひたすら自己嫌悪に陥って暫く立ち直れなかった。


「――そういえば、私、ずっと気になってた事があるんだけど……」
「ん? 何?」
「あのね、百瀬くんが実家へ帰る前まで感じていた視線の事、なんだけど……あれって、一体誰、だったの?」
「ああ、あれね」

 話をしているさ中、亜夢が感じていた視線について聞いてきたから、それについても説明する事にした。
< 112 / 171 >

この作品をシェア

pagetop