妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
 俺と亜夢が感じていた視線は、有紗本人や有紗が頼んだらしい誰かのモノだった事は調べがついている。

 それについても、俺が亜夢から離れると約束した段階で二度としないよう釘を刺していたから視線は止んだはずだ。

「……そっか、そうだったんだ……。私はてっきり、荒木田家の人が監視しているのかと思ってた」
「まあ、そう思われても仕方ないのかな。世間からすれば、俺の家のような家系はプライベートや恋愛についても厳しいイメージなのかもしれないけど、荒木田家(うち)はそこまで厳しくは無いんだよ。本当に厳しかったら、俺は今まで好き勝手出来てないと思うし」
「そう、だよね。ごめんね、お家の事を疑ったりして」
「いや、謝らなくていいよ。俺が離れてから視線が止んだら、タイミング的に疑いたくもなるだろうしさ」

 亜夢が荒木田の人間が監視していると思っていたのは想定外だった。

 そこまで想定出来ていれば、もう少し亜夢の不安を取り除いてあげられたかもしれないのに。

「まあでも、実を言うと俺が離れた後も、亜夢の監視は続いてたんだ」
「え?」
「監視って言うと聞こえが悪いかな? 俺の代わりに常に亜夢を見守ってくれてた人は居たんだよ」
「そうなの? 全然気付かなかった……」
「そりゃあ素人とは違う、その道のプロみたいな人間だからね。俺が傍に居られない間は常に亜夢の事を見守ってもらうように頼んでおいたんだ。だから、映画館で金森と会った事も知ってたし、分かってて偶然を装って助けに入ったんだ」
「そうだったんだね……。それじゃあ、マンションで金森さんに襲われたのも?」
「マンションに金森が来てるっていうのは連絡が入って、もう少し早く着けるはずだったんだけど途中事故渋滞に巻き込まれて間に合わなくて……結果亜夢には怖い思い、させちゃったね」

 言いながら抱き締める腕に力を込めると、あの時の恐怖を思い出したのか亜夢が俺を掴む手にも力が篭っていた。

「ううん、大丈夫。それでも百瀬くんはちゃんと来てくれたんだもん……」
「……亜夢」
「私、百瀬くんが裏で色々やってくれていたのに、信じるって言ったのに信じ切れなくて……本当に、自分が情けない……、ごめんね……」
「もういいって。知らなかったんだから仕方ない。もう、謝るのはやめにしよう? ね?」
「……うん……っ」

 ようやく本当の事を話せて誤解が解けた事にホッと胸を撫で下ろした俺は、もう一度亜夢と向かい合って座り直す。

「亜夢」
「何?」
「これから俺の両親や祖父母に会って欲しい」
「え? い、今から?」
「本当に急で申し訳ないんだけど、あっちが亜夢に会いたがってるんだ」
「で、でも……私、こんな格好だし……」
「大丈夫、服なら用意してあるから、とりあえずシャワー浴びて、用意した服に着替えてくれるかな?」
「う、うん……分かった……」

 相手の親に会うなんて心の準備がいると思うし、急に言われて戸惑う気持ちも理解は出来る。

 けど、これから最後の仕上げに向けて早急に準備が必要だから、先延ばしにする訳にはいかなかった。
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