妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
 有紗は二人を尾行していき、住んでいる場所を知ると、それからはトントン拍子に事を運んでくれた。

 考え無しにすぐ広丘の元へ向かうのかと思いきや、すぐに姿を現さない辺り、有紗らしいというかなんと言うか。

 どうすれば一番自然に二人の中へ入り込めるか、広丘が自分に興味を持ってくれるか入念に下調べを繰り返し、そろそろ頃合だろうという時になると、俺を呼び出してこう告げた。


「百瀬くん、全然会ってくれないし、私、他に好きな人出来たから別れて欲しいの」
「あっそ、勝手にどうぞ」
「本当、私に何の関心も無いのね! 最低な人っ! アンタなんかよりも良い男掴まえて幸せになってみせるわ! さよなら!」


 俺としては既に別れてる認識だったし、むしろようやく俺に飽きてくれて嬉しかった。


 そして俺と別れた有紗は、それから暫く経った後、亜夢と広丘の元へ向かったんだ。



 ここから先は、亜夢も知っている通りの展開に繋がるので、俺は一息吐いて亜夢の方へ再度視線を戻した。


「――この後の展開は亜夢も分かってると思うけど、彼女が亜夢と広丘の元に姿を現したあの日に繋がるんだ」
「……そう、だったのね」

 俺の話を聞いた亜夢の表情はとても暗く落ち込んでいる。恐らく、広丘に女が居た事実に傷付いているのだと思う。

 俺が全てを話した事で、亜夢が知らなくていい事を、知らせてしまったんだ。

「ごめん、そんな顔させたくは無かったんだ。妹と浮気した事だけでも傷付いただろうし許せなかっただろうに、他にも女がいたなんて……知りたく無かったよね……」
「……そう、だね。いっそ、知らないままで、いたかったかも……」
「そうだよね、ごめん……」

 俺が亜夢に隠し事をしていた理由は、広丘が色んな女と浮気するようなクズ野郎だったというのを知らせたく無かった事と、二人がこの先も一緒に居る事が許せなくて、どうしても別れさせたくて……亜夢を傷付けると分かってて妹を使い、二人の仲を引き裂いた事だった。
< 75 / 171 >

この作品をシェア

pagetop