妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
 それに付け加えて、俺のクソみたいな過去を知られるのも嫌だったけど、隠し事をして亜夢と駄目になるくらいなら全てを話した方がいいし、俺の全てを知ってもらった上で亜夢が俺を受け入れてくれたら、それが一番だと思った。


 無言になって、気まずい空気が流れていく。

(……亜夢、俺の事どう思ってんだろ……)

 無言が続けば続く程、不安になる。

 彼女は俯いて無言でいる事から表情すら読み取れずにどう思っているのかが分からず、不安で胸が押しつぶされそうになっていた時、亜夢が沈黙を破って口を開いた。


「……ありがとう、百瀬くん」
「え……?」
貴将(元カレ)が有紗以外とも浮気してたなんて知らなかったし、正直知らない方が良かったかもって、聞いた瞬間は思ったけど……でも、知れて良かった。アイツ、本当に最低な男だったんだって知れて……良かった。もし今度会う事があったら、一発殴ってやりたいくらいだよ」
「……亜夢……」
「それに、百瀬くんが隠し事をしていたのは、私の為だったんだって分かって、良かった……。話を聞くまで、不安だった……有紗と繋がってるんじゃないかって、疑ってた……。だから、百瀬くんがそれは違うって、信じて欲しいって言った時も、どうしても、それに頷け無かった……ごめんね、百瀬くん……」

 話を聞いた亜夢の中には、色んな感情が入り乱れているんだと思う。

 広丘が最低な奴だと分かって良かったと笑顔で口にしたかと思えば、俺の言葉を信じられなかった自分が許せないのか急に表情が曇ったと思った刹那、亜夢の瞳からは大粒の涙が溢れていた。

「いいんだ、隠し事されたら、疑うのは当然だよ。信じてなんて口先だけの言葉じゃ、信じられないのも当然だよ。それなのに、最後まで話を聞いてくれてありがとう。沢山傷付けて、ごめんね、亜夢」
「……ッ、百瀬……くんっ」

 涙を必死に堪えようとしていた亜夢の身体を引き寄せた俺は、ギュッと強く、抱きしめた。
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