世界を救わなくったって

ムンター目線

魔王の異変を感じ取って姿を現した魔族たちを、フィアーバはものの数分で片付けた。

テイルは呆然と、フィアーバを見つめていた。
俺はフィアーバの強さに引いた。

結界を張っている魔族を、一体倒すのだって命がけなはずだ。
無傷のフィアーバは、さすがに疲れたのか、肩で息をしている。


「……クソッ。テイルに、魔王を倒された……」


その言葉に、テイルはハッと我に返った。


「そんなにオネストと結婚したかった?」

「それはこっちのセリフだ」

「……」


ギスギスしてるな。

フィアーバは、大切な幼馴染を村に残して、ここまで戦ってきたのだ。
それなのに、大切な幼馴染は魔王城まで来てしまった。
しかも、あろうことか、大切な幼馴染は魔王を倒していた。

それにしても、フィアーバの幼馴染なだけあって、テイルは戦闘能力が高いな。
ダメージが蓄積されていたとは言っても、なんで魔王の頭を一撃でぶっ飛ばせるんだ?
フィアーバが村に残していたから、てっきり先頭の「せ」の字も知らない、か弱い乙女を想像していた。
まさか、メイスで物理攻撃するような超攻撃型女子だとは思わねぇよ。
下心を持って近付いても、この子なら撃退しそうだ。
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