狼上司と秘密の関係
徐々に声が大きくなっていく梨江に思わず頷いた。
行動しなければなにも変わらないのは、確かなことだった。
「よし、私頑張る!」

なにかが吹っ切れた様子で勢いよく立ち上がる梨江。
話を聞いてもらっただけで、前向きになれたのかもしれない。

「うん。頑張って!」
千明もつられて立ち上がる。
梨江と晋也が付き合い始めたらきっと職場はにぎやかになる。

ふたりが並んで歩いているところを想像すると、とてもお似合いだと思えた。
「話聞いてくれてありがとう。じゃ、私帰るね」
「え、帰るの?」

質問している間に大股で玄関へ向かう梨江。
千明はその後を慌てて追いかけた。
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