身代わりお見合い婚〜社長に溺愛される365日〜

お見合い相手は自社の社長!?

「一生のお願い! 私の代わりにお見合いして!」


 栗色のウェーブがかかったボブに、奥二重の知的な瞳。

 才色兼備でおまけに令嬢。絵に描いたような完璧な彼女の名前は、東雲 有紗(しののめ ありさ)。

私の幼馴染で親友である。

 一方の私はというと、徹夜明けの大きなクマを眼鏡で隠し、もう三ヶ月以上美容院に行っていないので伸びきった髪を一本に結び、よれよれのTシャツにジーパンというありさまだ。

 もちろん令嬢でもなければお金持ちでもない。美貌も金もなにもないつまらない女である。

 ちなみに名前は田中 芳実(たなか よしみ)。名前まで平凡だ。

「いやいや、私じゃ有紗の代わりなんて務まらないって」

 有紗とは、小学校~大学まで一緒だったという濃い縁だ。

どんくさくて、人付き合いも苦手な私は、よくイジメの対象になったが、そのたびに有紗が守ってくれた。

 一生返せないほどの恩は感じているが、人にはできることとできないことがある。

今回の場合は間違いなく後者だ。
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