身代わりお見合い婚〜社長に溺愛される365日〜
「いいえ、これはあんたにしかできない仕事よ。私のことならなんでも知っているでしょう。質問されても的確に答えられるのはあんただけよ!」

 まあ、たしかに有紗のことならなんでも知っている。

むしろ有紗よりも覚えているかもしれない。

たとえば、歴代の彼氏の名前とか。有紗は終わった恋はすぐに忘れるから。

「でも、顔が全然違うでしょう」

「先方は私の顔まで知らないはずよ! ……たぶん」

 いや、たぶんってなに⁉

 そんなあやふやな情報で、身代わりお見合いなんて大役務めたくないんですけど⁉

 一気に青ざめた私の顔を見て、有紗が慌てて笑顔で言う。

「大丈夫よ、大丈夫! 責任は全て私が持つから。芳実はただにこやかに笑って、ご飯を食べていればいいの。余計なことはなにも言わず、聞かれたことだけに答えて、そして会食が終われば解散! どう? 簡単でしょ?」
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