身代わりお見合い婚〜社長に溺愛される365日〜
「それよりも、本当にご両親は喜んでくれたのですか?」

「はい、両親は僕が結婚する気がまったくなかったのを知っていたので、強引にでも引っ張ってくれる気の強い女性なら結婚できるんじゃないかと思って有紗さんを勧めたらしいです。父は少し複雑そうな表情でしたが、母は喜んでいましたよ。孫ができて嬉しいって」

 それを聞いて安心した。両親から猛反対を受ける覚悟はできていたので、嬉しい誤算だ。

 やはり子どもの存在は大きかったのかもしれない。両親の性格をわかっているだけに、貴富さんの読みはバッチリだ。

 ただ、おばあ様が予想外に強敵な気がするのが怖い。

 私は庶民だからわからないけれど、由緒正しき家柄というのは背負うものや制約が大きいのかもしれない。お金があるっていいことだけじゃないんだなと思う。

 それから一週間後、ついに藤堂寺家にご挨拶に行く日がやってきた。

 なにを手土産として持っていくか、なにを着ていくか、作法などを有紗に相談しまくり、迎えた当日。
< 200 / 247 >

この作品をシェア

pagetop