身代わりお見合い婚〜社長に溺愛される365日〜

華麗なる藤堂寺家の面々

私の体を気遣って、一人で実家に報告しに行った貴富さん。

 帰ってくるなりげっそりしていて、珍しく苛々していたので、あまりいい反応ではなかったことが容易に想像できた。

「子どもができたと言ったら、両親は喜んでくれたのですが、問題は……」

 おばあ様がかなり厳格な方らしく、貴富さんのご両親も頭が上がらない存在らしい。

 そのおばあ様が、私たちの結婚に大反対のようで……

「今度、うちに連れて来いと言われました。正直、芳美さんを祖母に会わせたくはないのだけれど、結婚の承諾を貰うには挨拶はしておかないと進まない気がします」

「私はもちろん大丈夫です。元からそのつもりでしたし、なにを言われても私は大丈夫です!」

「全力で芳美さんを守ります。……本当にあのババアは……」

 貴富さんの口から小さく漏れた本音にびっくりする。

(貴富さんでもババアなんて言うんだ)

 心底苦々しく思っている様子が感じ取れて同情する。御曹司も大変なんだな。
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