ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
 なかなかの強敵だ。色々な子育て本を読んで実践してみたけれど、まるで太刀打ちできない。

(よし、研究者として、この未知なる生物を攻略してやろうではないか!)

 子育て本は本棚の奥深くに仕舞い込み、我が子を観察する。なにに興味を示すのか、なにが好きでなにが嫌いなのか。赤ちゃんだからなにもわからないだろうと思っていたけれど、注意深く観察すると、意外と知性が高いことがわかる。

「なにをしている?」

 娘の周りに生地の違う布や色違いの布を並べて、反応を観察していたら、仕事帰りの貴富さんに不審な目で見られた。

 帰ってきたら真っ先に娘を抱っこして匂いを吸い込み、目尻を下げて笑顔を浮かべる貴富さん。

今日も溺愛する娘を抱きしめようとしたら、嫁が真剣な目でなにかをやっているので、抱き上げることもできず困惑しているのだろう。

「実験よ。どんな素材や色に反応するのか見ているの」

「ほお、なかなか面白い取り組みだな」

 普通ならここで呆れたようなツッコミが入るのだろうけれど、貴富さんも研究者気質なので、食いついてきた。
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