身代わりお見合い婚〜社長に溺愛される365日〜

人生を変えた出会い

私が社長と出会ったのは、大学三年生の頃だった。

 出会ったというか、その他大勢の一部として、舞台の上でスポットライトに当たる社長の姿を見た、というのが正しい言い方だ。

ゼミの先輩の卒業論文が学会で発表されることになって、ゼミの先生からぜひ出席するようにと言われたのでみんな行くものだと思って行ったら、ゼミ生で出席しているのは私だけだった。

会場はコンサートもやるような大きなホールで、檀上にのぼって論文発表した先輩は、カチコチに固まっていて、見ているこちらがドキドキしてしまうようなありさまだった。

先輩の発表が終わったのだから途中退席しても問題なかったのだろうけれど、真面目な私は最後まで見ていくことにした。

その学会の発表会で大トリを飾ったのが、社長だった。

医者や専門家も発表している中、民間企業の若い社長が学会で発表するのは、よく知らない私から見ても異例に映った。
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