身代わりお見合い婚〜社長に溺愛される365日〜
きっと話す内容は、優秀な人材に自社をアピールすることが目的だろう。

宣伝目的で学会に出席するなんて、裏でどんなお金のやり取りがあったのかと疑っていたのに、社長の話を聞いたらそんな疑念、一気に吹き飛んだ。

まず、話がとても面白くて引き込まれる。抜群のカリスマ性と話術に加えて、専門家顔負けの知識量。

学会で卒業論文発表をすることになった先輩よりも十倍以上の知識量は確実にある。なるほど、これは大トリに相応しいと納得した。

社長がとても楽しそうに製薬のことを語るので、本当に好きなんだなというのが伝わってきたし、国益や苦しむ人々のため信念を持って仕事をしているというのも感じた。

発表が終わった質問の時間では、専門家が答えにくく難しい質問をわざと投げかけた。それに対しても的確に答えていくものだから痛快だった。

学会発表が終わる頃には、絶対に社長の会社で働きたいと強く思うようになった。

恋とか憧れとか下心とかそういうのではなく、人生を懸けて製薬の仕事に全てを捧げたいと思ったのだ。

これが私の生きる道で、目的だと思った。

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