身代わりお見合い婚〜社長に溺愛される365日〜
 この質問、祐樹にもまったく同じことを聞かれた。どうやら俺の最大のしくじりは、彼女に出会ってすぐに言ってしまった俺の言葉が全てを悪い方に向かわせているらしい。

「本気なの?」

 有紗さんが俺の目をまっすぐに見つめて言った。

「もちろんだ」

 俺も有紗さんの目をしっかりと見つめて返事をした。すると、有紗さんは大きなため息を吐いた。

「あんた、自分の立場がわかっているの? 私たちみたいな人間は、自由恋愛して結婚なんて親が許さないのよ。どんなに相手のことが好きでも叶わないことだってある。それなら深く傷つく前に別れた方がいいかもしれない」

 有紗さんの言葉は、なぜか言葉に深い重みが感じられた。

「彼女と共に歩めない人生なんて、もう考えられない」

 有紗さんは俺を見つめたまま押し黙った。そしてため息と共に俺から目を離した。

「……とにかく、私からはあの子の素性を話すことはできないわ。あの子が話してもいいと言ったら変わるけど。私はあの子の絶対的な味方でいたいの。あの子が望んでいないことはできないわ」

 どうやら俺は、自分の想像以上に彼女を傷つけてしまったのかもしれない。

 ショックで佇む俺を置いて、有紗さんは家に帰っていった。

 俺はどうしたらいいのだろう。償う方法すら与えてもらえない。

 もう二度と彼女に会えないのだろうか……。

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