🆕足湯と君は居場所【BLピュア】

第4話*足湯『 ひょう花』

*蒼視点 

 叔父が足湯カフェ『ひょう花』を経営している。そこは俺のお気に入り場所だ。

 中全体は木の温もりを感じる雰囲気。子供も遊べる休憩スペースや、足湯に入らない人たちもご飯を食べながら過ごせるスペースもある。そしてメインの足湯コーナーは、横一列に客が並べる長いテーブルがあり、その長さに合わせた長い椅子もある。軽く十人以上は座れるだろう。目の前には外全体が見渡せる大きな窓がある。季節によって色が変わる庭園の景色を眺めたり、本を読みながら軽食を食べたり。あんまり混まないから、ゆったり自由に過ごせる。

 駄菓子屋に行ったあと、昼ご飯を家で済ませてからここに来て、足湯を堪能していた。

 お湯の中に足を入れると、足裏に溜まった数々の老廃物がまるで山を登り始めたように上へ上へと這い上がり、血液が浄化、循環しているのを感じる。

 初めて足湯を体験した時は、詳しい年齢は覚えていないけど小さな時だった。まだリニューアルする前、母親に連れられてここに来た。ちなみにリニューアル前、ここの名前は漢字で『氷花』だったらしい。

その時は小さな丸い穴の中にお湯があって、そこに足を入れていた。かすかな記憶の中では、狭くて数人いるだけでギュウギュウになるイメージ。その穴の中に、大人たちの真似をしてちょこんと足を入れてみた。

 中学二年生の時だった。ふらふらと気がつけばひとりで来ていて、それから心身共に浄化したい時は通うようになっていた。叔父をはじめ、常連客もアットホームな感じで居心地がよくて、暇な時はいつも通っている。大人でいうと、タバコとかお酒とか毎日癖になる?ようなやつの感覚だきっと。

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