🆕足湯と君は居場所【BLピュア】
*優斗視点


「赤井優斗です。よろしくお願いします」

 入学式の日のホームルーム。

 僕の席は廊下側の一番前。二十九人のクラスメイトに顔が見えるように、斜め後ろを向きながら言った。自己紹介をする順番は苗字が『赤井』である限り、大体いつも一番最初だ。本当は明るい表情で、趣味とか入りたい部活とか……他のことも言った方がいいのだろう。でも注目を浴びるのは苦手だから、できるだけ手短に済ませたかった。

 中学の時なんて名前しか言えなかったから、少しはレベルアップしたのかな?

「黄金寺詩織です。趣味はアウトドアで……」

 僕の次は王子様のような見た目をしていて、お金持ちだと噂の黄金寺。僕とは真逆で話上手で愛想も良く、素敵オーラも放っている。彼とは小中同じ学校で、その時は全く関わりはなかった。

 僕は最近、引越しをしてこっちに来た。黄金寺も同じタイミングで、大きめなマンションがある隣町に引越してきたらしい。そんな共通点と、僕たちの席が前後だからなのか、初日から「仲良くしよう」と言ってきて、どんどん話しかけてくる。

 
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