🆕足湯と君は居場所【BLピュア】
 今は制服の長いチェック柄ズボンを履いている。だからそのまま足は入れられない。コートを脱いでブレザーと中に着ていたワイシャツの袖を軽くまくり、長い椅子にぺたん座りをすると、お湯の中に片手を入れた。

 ブレザーも脱げばよかったと気づいた時にはすでに遅く。まくった袖は元の位置に戻ってきて、ブレザーと中に着ていたワイシャツも少し、袖辺りがベチャベチャになる。さらに濡れた袖に気を取られ、バランスを崩して落ちそうになった。

 その時、高瀬の腕が伸びてきて僕を支えてくれた。

「おい、何してるんだよ? あぶねーよ」
「だって、僕のせいで落としちゃったから拾おうとして……」

 助けてもらった状態のままで、身体が密着していた。ふたり同時にその状態に気がつき、同時にはっとしながら離れた。

「いや、俺、自分で拾えるし……」

 なんと、高瀬は器用に両足をお箸のようにして、本を挟んで拾った。それを見た僕はほうっとした。

「おかず掴んだお箸みたい……すごい、足、器用……」

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