偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
(なんだか私を好きみたいな……)

 まさかと思う。しかし彼の醸し出す空気はこれまでになく甘い。まるで恋人同士の語らいのときのように。

「多くの時間を過ごすようになってますます確信した。俺は花穂がいないと駄目だって」

 戸惑う花穂の手を響一が掴んだ。

「花穂にとってこの結婚は偽りなのかもしれないが、俺はいつか真実にしたいと思ってる」

 驚愕する花穂に、響一が少し困ったような顔になる。

「急にこんなことを言ったら混乱するよな。ごめん。でも少しずつでいいから考えて欲しい」

「考える?」

「そう。俺と本当の夫婦になることを」

 どくんどくんと響一にまで聞こえてしまうのではないかと思うくらい鼓動が煩い。

(信じられない……響一さんがそんな風に思ってくれていたなんて)

 体中にじわじわと喜びが広がっていく。

(ほんとうなんだよね?……嬉しい)

 それなのになかなか言葉が出て来ない。早く言わないと響一を誤解させてしまいそうなのに、肝心なときにどうして気が利いた言葉を言えないのだろう。

 じれったさを感じながら花穂は無理やり口を開く。
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