偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる

「響一さん、私嬉しいです」

 自分でも呆れる程情緒がない言葉。けれどそれが本心だ。

「私も響一さんと結婚出来てよかった。ずっとそう思っていました」

「……本当に?」

「この先も一緒に居たいです」

 勇気を出して告げると、響一はとても嬉しそうに顔を輝かせる。

「ありがとう!」

 同時にふわりと抱きしめられた。

 彼の体温に包まれ、花穂の顔に熱が集まる。

 こんな風に誰かに抱き締められるのは初めてだった。温かくて心地よくて、ずっとこのままでいたくなる。

「花穂、俺は本当に嬉しいよ」

「は、はい、私もです」

 広い胸の中で花穂はこくんと頷く。

(響一さんの腕の中って居心地がいい)

 出来ればずっと抱き締めて貰いたいくらい。

 しかしすぐに離されてしまった。

 がっかりする花穂を響一は喜びが滲む目で見つめる。

「少しずつ本当の夫婦になっていこう」
「はい」

 張り切って頷くと、響一は困ったように苦笑いをした。

「礼儀正しい花穂も好きだけど、俺には遠慮しないで」

 以前、敬語は止めて欲しいと言われたことを思い出す。そのうちと返事をして未だになんとなく変えられずにいた。
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