偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる

「……うん、今度こそ努力する」

 本当の夫婦になるのだから、変われるようにがんばろう。

「よかった」

 響一の大きな手が花穂の頬に触れる。彼は幸せそうに目を細め花穂を見つめている。

「もっと花穂に触れたい、いい?」

「ど、どうぞ」

 何と答えればいいか分からず、そう言うと響一はくすりと笑う。

 大きな手が優しく耳元を覆う。もう片方の手は支えるように背中に回る。そして響一の端正な顔が近づいて来て……。

(こ、これは……)

 花穂は緊張と期待でいっぱいになりながら目を閉じた。

 唇がそっと触れたのはその直後だった。



 二月中旬。一際寒さが厳しい日々が続いているがカフェアリビオは盛況だった。

 仕事の移動中の一休みに寄るのか、普段はそれ程混んでいない夕方五時前でも席が殆ど埋まっている。

 もうひとりのホールスタッフと忙しなく接客をしていると、カランとドアベルが音を立てた。

 ちょうど出入口近くにいた花穂が対応しようと振り返る。

(あら、広斗さん?)

 やって来たのは響一の従兄、広斗だった。

「いらっしゃいませ」

 花穂が声をかけると、広斗は感じよく微笑む。

「こんにちは。仕事で行き詰って息抜きに来たんだ」
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