偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
「俺は大丈夫。広斗も最終的にはなんとかするタイプだから心配いらない」

「よかった。遠目でも深刻そうな雰囲気だったから。難しい仕事をしているのかなって心配だったの」

「深刻そうな?」

 響一はそう呟くと、何かを考え込んでしまった。

「響一さん?」

 呼びかけても花穂の声が耳に届かないようだ。

 彼が花穂の前でこんな上の空になるのは初めてのことだ。

(なんだか今日の響一さんはいつもと違うな。広斗さんたちの話題になってからこうなったよね)

 脳裏に立ち去る際の百合香の様子が思い浮かんだ。彼女は愛想笑いすらせずに、真顔で花穂の様子をじっと見つめていた。 まるで値踏みするように。

(私、何か失礼なことしちゃったかな)

 身に覚えはないものの、失敗したかもしれない。

 響一の知り合いとは出来るだけ上手くやっていきたいと言うのに。

 それぞれ考えに耽りしばらくすると響一が口を開いた。

「そろそろ寝ようか」
「あ、そうだね」

 いつの間にか十二時を過ぎていた。早く寝ないと明日に差し障る。
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