偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる

 リビングの照明を消して、私室に引き上げる。リビングから繋がる廊下の左右に各自の寝室があるのだが、休日前の夜は響一のベッドに一緒に入り、寝落ちするまで会話をする。

 それがあまりに楽しくて、寄り添って眠るときの温もりが心地よくて、最近ではひとりで眠るのに寂しさを感じるようになった。

(いつも一緒に居られたらいいのにな)

 どんどん響一へ向ける好意は大きくなり欲張りになっている。

 かと言って、彼の睡眠の邪魔をする訳にはいかないので、我儘は言えないけれど。

「おやすみなさい」

 ドアを開ける前、名残惜しさを感じながら挨拶をする。

 いつもは響一も「おやすみ」と返してくれるのだが、今日は言葉の代わりにそっと引き寄せられて、額に優しいキスをされた。

「えっ、あの……」

 かりそめではなく本当の夫婦になろうと話し合い、大分距離が縮んで来てはいるものの、まだこのようなスキンシップには自然に振舞うことが出来ない。

 夫のキスを自然に受け入れることが出来ず、いちいち動揺してしまうのだ。

 割れながら子供っぽいと思うが、心構えをする間もなく触れられるからどうしようもない。

(でも、嬉しいんだけど)
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