偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
(本当に忙しそう。移動中だったみたいなのに、あれこれ話しちゃって悪かったかな)

 そんな状況でもこうして連絡をして来てくれたのは有難い。

 花穂はキッチンに入り、あとは温めるだけの状態の料理を明日食べられるように保存用の器に移し替えた。

 今日の夕飯は、自分ひとりなので適当なもので済ませ入浴して響一の帰りを待った。

 けれど十二時を過ぎても彼は戻らず、睡魔に負けた花穂はいつの間にか眠りに落ちていたのだった。


 それ以降も響一は多忙で、以前よりも確実に在宅時間が減っていた。

 ゆっくり話す暇をつくるのも難しく寂しさを感じずにはいられなかった。

 とは言え落ち込んでばかりではいられないので、ひとりの時間に将来のことなどを、ゆっくり考えながら過ごした。

 あれほど楽しみにしていた自分のカフェ開くという夢。

 それは仕事に魅力を感じていたからだが、居場所を作りたかったという気持ちが確実に働いていた。

 家を飛び出して家族とも疎遠になって、あまり意識はしていなかったものの、拠り所がないような心細さを感じていのだろう。

 しかし今は響一の妻としての自分が、一番の居場所だと思っている。
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