偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
 心配のあまり声を大きくする響一に、祖父は気まずそうな顔をする。

「大した怪我じゃないから大袈裟に騒ぐな。花穂さんが驚いているじゃないか」

「私のことは気にしないでください。それより本当に大丈夫なんですか?」

 慌ててそう言った花穂に、祖父は微笑んで頷く。

「心配かけてしまったね、問題ないよ。ただ響一と花穂さんにお願いが有って来て貰ったんだ」

「はい。なんでもおっしゃってください」

 身の回りの世話や、送迎の為の運転だろうか。

(お祖父さまにはそういうスタッフがついているけれど、家族の手も必要なのかも)

 もちろん精一杯協力するつもりだ。

 祖父は花穂に「ありがとう」と返事をすると、響一を見上げた。

「三日後、加納紡績新社長の就任祝いがある。六条家も招待されているから、私の代わりにお前が花穂さんと参加してくれ」

「加納貿易って伊那の家の?」

 親友の家名が出て来たことでつい驚きの声をあげてしまった花穂に、祖父がおやと意外そうな表情をした。

「伊那さんは社長の娘だが、花穂さんは面識があるのか?」

「はい。伊那とは幼馴染なんです」
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