偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
 祖父の顔は真剣でその言葉が脅しでもなんでもなく、事実なのだと物語っている。

「……分かりました。仰る通りにします」

 パーティーとは言っても伊那の家主催ということもあり、気楽に考えてしまっていたようだ。

 その後、離れに戻ると響一が申し訳なさそうに花穂を見た。

「花穂、会長は不穏なことを言っていたが、怖がらなくて大丈夫だ。俺がついているから心配しないで」

「うん。心強いよ」

 響一が花穂を心配してくれているのがひしひしと伝わってくる。本当に大切にして貰っているのだ。

(それなのに、どうしてときどき隠し事をするのかな)

 幸せだからこそ、ほんのひと欠片の疑惑が、堪えてしまう。

「……最近元気がないように見えるが大丈夫か?」

「平気だよ。それよりお腹空いたでしょ? ご飯食べようか?」

「あ、ああ」

 花穂はキッチンに行き用意しておいた夕食の仕上げをする。

 今日は少し迷った末に生姜焼きと煮物小鉢にご飯と味噌汁という献立にした。

 肉を焼き、煮物と味噌汁を温める。いい匂いがキッチンを漂い食欲をそそる。

 出来上がった料理をダイニングテーブルに運び、席に着いた。

「いただきます」
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