偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
たりしているうちに、あっという間にホテルに到着した。

 会場の広間には着飾った人々が集まっていた。想像していた以上の盛況ぶりに驚いたものの、響一が隣に居てくれたので必要以上に緊張せずに済んだ。

「これだけ人がいると伊那と会うのは難しいかな」

 ざっと会場内を見回したが、今のところ彼女の姿は見えない。

「そのうち見つかるさ」

「そうだといいけど……響一さんの知り合いは来ているの?」

 祖父の代わりに挨拶をする相手ではなく、個人的な友人知人と言う意味で聞いた。彼は正確に受け取り頷く。

「もしかしたらひとり来て……」

「六条さん!」

 そのとき響一の言葉に割り込むように野太い声がした。

 振り向くと恰幅の良い五十代くらいの男性が、響一めがけて足早に近寄って来るところだった。

 おそらく祖父の知り合いだろうと、少し緊張しながら響一の様子を窺う。彼は明るい笑顔で男性を迎えた。

「広田さん、お久しぶりです」

(広田さんってむかしお祖父さまの部下だった人だったかな。今は『広田商事』の社長になったっていう)
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