偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
「まさか!」

 それはいくらなんでもほめ過ぎだ。嬉しいを通り越して居たたまれなくなる。

「お世辞だと思ってるならそれは誤解だ」

 響一が花穂を見つめ、頬にそっと触れてくる。

 花穂の心臓がドクンドクンとうるさく音を立てた。

 甘くそれでいて緊張感を伴うひととき。

 響一とのスキンシップで少しは慣れたと思っていたのに、全然そんなことはなかった。

(最近はお休みのキスもしてなかったから)

 このままキスをされるのかと思っていた。

 けれど予想とは裏腹に響一は体を離してしまった。

「そろそろ行こうか」

 戸惑う花穂とは対照的に、響一は何事もなかったかのように冷静だ。

「う、うん」

(どうしてやめちゃったのかな?)

 それともキスをされると思ったのは花穂の勘違いだったのだろうか。

 拍子抜けしたようながっかりしたような思いで、花穂は響一の後を追った。


 六条家からパーティー会場のホテルまでは、車で約二十分。

 お酒を飲むことになるだろうから、今日は運転手付きの車での移動だ。

 後部座席にふたりで並び流れる景色を見たり、挨拶をする必要がある相手の情報を聞い
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