偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
 重要な知人の前、ギャラリーも多い中でリップサービスをしなくてもいいのに。

 広田が惚気発言を好意的に受け止めてくれているからよかったが。

 その後会場を周り挨拶を続けた。響一に紹介され挨拶を交わす度に、真剣に観察されている気配を感じる。

 祖父が行っていた通り、どうやら花穂はかなり注目を浴びているようだ。

 落ち着かない気分になるが、きっと今だけの話だ。

(響一さんと結婚したんだから関心を寄せられるのは仕方ない。周囲の視線は気にしないようにしよう)

 実際響一はパーティー会場の仲でも一際目を引く存在だった。

 モデルのようなスタイルはフォーマルな衣装も難なく着こなし、嫌になる程様になっている。

 彼は花穂が一番綺麗だなどとお世辞を言っていたが、響一こそ多くの人たちの中で輝いていた。

 挨拶回りが落ち着いた頃、響一が花穂の耳元で囁いた。

「花穂、伊那さんが来た」
「あ、本当だ」

 彼の視線を追った先に伊那の姿を見つけた。彼女はブラックのパンツスーツ姿で他の招待客に比べるとシンプルな装いだった。

 しかし纏う雰囲気は洗練されていてさすがだと思った。
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