偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
「花穂、響一さんもようやく見つけたわ」

「伊那、よかった会えて。すごい人だね」

「各方面に声をかけたみたいだからね。人脈を広げる意味もあるんじゃない?」

「なるほど」

 新任社長は大変なのだと納得していると、ちらちらと周囲の視線が伊那に集まっているのに気が付いた。

 響一もいることから、花穂の周囲はかなりの注目度だ。

 しかし突然会場の前方が騒がしくなった。何事かと目を向けると雛段に若い男性が上がったところだった。

「伊那のお兄さん?」

 東京に出て来たとき伊那に紹介されて一度挨拶をしているが、遠目だとよく分からない。

「そう。挨拶が始まるみたいね」

 伊那がそう言った直後、マイク越しの声が会場に流れ始めた。

 新社長らしい前向きで若々しさを感じるスピーチが終わると、会場内がわっと盛り上がった。

 この後は各自歓談するようだ。

 立食形式のテーブルいっぱいに用意された料理も手を付けて良いとのこと。

「花穂、何か食べるか?」

 響一が気遣って声をかけてくれる。

「うん、美味しそう。新シェフの料理なんだってね」
< 182 / 214 >

この作品をシェア

pagetop