偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
「……ありがとう。でも輝さんには拘わらないでね。本当に怖い人だから」

 必死に訴えると伊那は渋々ではあったが頷いた。

「響一さん遅いね。まだ絡まれているかもしれないから、そろそろ助けに行こうか」

「そうだね」

 伊那とふたりで会場内を響一の姿を求めてさまよう。

「いないね」

「うん、響一さんは目立つからすぐ見つかると思ったんだけど」

「外に出てるのかな」

 伊那が言うには中庭に一息つきに出る人もいるらしい。

 会場を出て廊下から庭に出る。するとすぐに響一の姿を見つけた。

 彼は花穂に背中を向けており、誰かと話しこんでいる様子だった。

「あ、見つかったじゃない」

 伊那も響一に気付いたようで、少し大きな声を出した。すると声が届いたのか響一がこちらを振り返る。

 彼の体が少しずれたため、はじめて奥にいる人物の姿が見えた。

 すらりとした女性は、朝宮百合香だった。

「響一さん……どうして」
 人目を避けるように彼女と何をしていたのだろうか。
 彼を信じているけれど目の前の光景が辛い。胸に鋭い痛みが走る。

「花穂?」

 そんな花穂に響一が動揺したように目を見開いた。
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