偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
◇◇
明らかに傷ついた表情の妻の姿に、響一は酷く慌てた。
とてつもなくまずい状況だ。
後ろめたいことは何もないが、花穂を傷つけてしまったのは間違いないと察したからだ。
(何か誤解させてしまっている)
それともなかなか戻れなかったのがよくなかったのだろうか。ずっと側にいると約束したのに、伊那がいるからと油断してしまった。
とにかく話し合って許して貰わなくてはと響一は慌てて花穂に近付いた。
「花穂、ごめん側に居られなくて」
的外れかもしれないが、何か言わずにはいられず声をかける。
花穂は言葉なく響一を見返す。明らかに不審そうな目。
ここ最近花穂の様子がよくない方向に変化したのは気付いていた。
ときどき暗い顔をするし、響一に対して壁のようなものがある。
なんとかしなくてはと思っていたが、その対応が遅すぎたのかもしれない。
自分の判断ミスを後悔しながら、それでも今から挽回するべく花穂に訴える。
「疲れているよな。するべき挨拶は終わったから帰ろうか」
「……響一さんの用はもう済んだの?」
花穂の視線は響一ではなくその後ろ、つい先ほどまで話をしていた百合香に向いていた。