偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
「大丈夫だったか? 乱暴な真似はされてないか?」
花穂の頭からつま先まで確認する。彼女は気まずそうにしながら頷いた。
「よかった。本当にごめん。嫌な思いをしたよな」
話の続きは帰ってからにした方が良さそうだ。
「伊那さん、悪いけどこれで失礼する」
「そうした方がいいわ。兄とは話したんでしょう?」
「ああ。さっきさせてもらった」
「だったら大丈夫よ。花穂とちゃんと話し合った方がいいわ」
響一は頷き、それから今度は百合香に声をかける。
「俺たちはこれで帰るから。百合香も気を付けて帰れよ」
「ええ」
「花穂、帰ろう」
「えっ……ほんとうにいいの?」
花穂は百合香のことを気にしているようだ。優しい彼女のことだから置いていくのが可哀そうと思っているのだろうか。
「大丈夫。そのうち広斗が迎えに来るだろ」
それよりも今は花穂だ。
響一は花穂を連れてホテルを出た。迎えの車がくるまで少し時間がある。
「待っている間、疲れていないなら少し歩こうか」
「うん」
花穂を連れてホテル近くの広場に向かう。