偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
夫婦の距離

 響一との結婚を決意したあとは、スムーズに縁談が纏まって行った。

 城崎家の負債は一旦響一に肩代わりして貰うことになった。

 父は六条グループの企業に職を得て、母は治療に専念する。家事は以前働いてくれていた家政婦の箕浦が求職中とのことだったので再度お願いをした。

 花穂は東京に戻り、結婚準備に入る。空いた時間は自分の店を持つための勉強を続けるつもりでいたが、伊那から時間が空くならアリビオで働いて欲しいと請われ、バイトに復帰することになった。

 住んでいたアパートは引き払ってしまっていたので、新居の改装が終わるまでの二ヶ月の間に住むマンスリーマンションを響一が手配してくれた。

 アリビオがある東京駅から電車と徒歩を合わせて三十分以内。六条家からも車で十五分程度で行き来出来る好立地で、ゆとりのある1LDK。備え付けの家具は上質なもので、素晴らしい環境だった。

 当然家賃も高額で、カフェバイトの給料では到底支払えないランクのもの。
 響一が支払いをしてくれるにしても、そんな大金を払って貰うのには気が引けた。けれど響一が納得する物件が他にないとのこと。
< 64 / 214 >

この作品をシェア

pagetop