桜ふたたび 後編
『それに、彼が罪を犯したのではない。犯罪者が彼を利用したんだ。同じ利用されるなら、こちらのほうがましだろう』
『しかし、調査室は危険すぎる』
『餌は、生きたまま泳がせておく』
言葉の真意を図りかねて、リンとウィルは眉を潜めてジェイを見た。
『レオ、数字当てをするのなら、硝子トップテーブルは止めた方がいいな』
ジェイはしらっと言った。
『カードを伏せる際に反射している。カールの脚は長いから』
ハッと、レオはカールの足元を見た。なぜか気に入った巨大なエナメル靴を履いていた。
やられました、とレオは額を叩く。
ウィルは気が抜けたように、どっと椅子に体を沈める。
『とんだサイキックだったな』
『いや。カールはサヴァンだ。超人的な動体視力と驚異的な記憶力で、瞬時に確率計算を行っている。文字を単語としてではなく、記号や数字としてとらえ、かつ四次元で認識しているようだ。──上手く活用してくれ』
ローラは、突然訪れた幸運に、まだ信じられないのか、呆けたように座り込んでいた。
レオに促されようやくふらりと立ち上がると、何度も何度も深々と礼をする。
そして、何も理解していない息子の手を引き、蹌踉とリビングの奥へと消えていった。
少女たちの明るい笑い声に迎えられて──。